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Channel: 【きっと世界は】能力者スレ part2【止まらない】
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名前:名無しさん@chs 2014/02/01(土) 02:44:22

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「貴方にお仕事を任せたいのだけれど、構わないかしら」 それを君が望むなら、御用向きを聞こう。 「ちょっとしたごみ拾いを頼みたいの。場所は、かの霧けぶる魔都の外──『鳥籠』にある研究所跡地」 櫻の結界都市? ……随分とまた、剣呑な依頼だが……OK、請け負った。 あすこに行くのは初めてじゃないし、何とかなるだろう。そのぶん、報酬には期待してるよ。整備と補給も念入りに。 「その辺りは抜かりないわ。貴方が行方を眩ませてたここ数年で、あすこに支店を建てたの。  整備と補給は勿論、毎日お茶会だって開ける。凄いでしょう。褒めてくれたって良いのよ?」 ……至れり尽くせりだね。却って怖くなる。 【このようなやり取りから、ざっと一週間後】 【紆余曲折あって、一人の余所者が今、交易船の去った無人の港に立ち尽くしていた】 【ひょろりと上背のある黒い短髪の男だ。瞳は黒く、顔にはへらへらと冴えない笑みを浮かべている】 【糊の利いた黒いスーツ、同色のソフト帽とネクタイを身につけ、レザースニーカーを履いており】 【所在なさげに旅行鞄を揺らす右手は、艶々とした黒い装甲に被われた義手だった】 予感が当たった。ごみ拾いどころの話じゃないじゃあないか。 お茶会に釣られて契約書に判押すんじゃなかったなあ、畜生! 無人稼働するプラント、暴走する自律兵器、それに群がる野良のトレジャーハンター……。 ああ、もう。幾ら整備と補給受け放題ったって、一人でどうにかなるもんか。 あの娘、絶対根に持ってる。俺がひいひい言いながら駆けずり回るのを優雅に本社から見物するつもりなんだ。 ……まずい、そろそろ時間だ。急がなきゃ……前はここで丸三日間締め出し喰らって酷い目にあったんだよなあ。 【誰にも聞かれていないのを良い事に、大袈裟な身振り手振りさえ交えてしきりに憤慨する彼だが】 【ここまでの独り言から察するに、どうも、どこぞの企業に雇われた傭兵かなにからしい】 【ひとしきりぶつくさ文句を言い終えると、足早に通りへと歩き出す。都市は待ってはくれない】 【船が出港して暫くすると、城門を思わせるゲートが封鎖。次に交易船が来港するまで、都市と港を往き来する手段は無くなるのだ】 【結界都市、第一の関門。などと、都市住民やベテラン旅行者は冗談めかすが、喰らった側は堪ったものではない──】

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